「孵道(かえりみち)」配信の振り返り

「孵道(かえりみち)」配信の振り返り

先日はゲーム配信「孵道(かえりみち)」をプレイさせていただきました。

初回という所もあり、かなりグダついてしまいました…ゲストのお二人方のナイスアシストで何とかやり切りました!本当にお疲れ様でした。

さて、ゲーム内の音響について色々言及したのですが予想以上の恐怖演出にビビリすぎてしっかり解説しきれなかったので

本日のブログで補完させていただければとおもいます。

ゲームでバイノーラル収録音源が積極的に使われない理由

ゲームでバイノーラルが使われにくい理由は、効果が弱いからではなく、条件がそろわないと強みが出にくいからだと思っています。

ゲームは、音声作品と違ってプレイヤーが自由に動きます。
録音時の位置が固定されるバイノーラル収録の音源は、プレイヤーの視点が動くゲームでは逆に「不自然な定位」を生むため、ゲーム内ではリアルタイムの「3Dオーディオ処理」が主流となっています。


逆に、今回のゲームのような視点が固定されるようなゲームや、特定のシーン・シチュエーションでは効果的に生かせる場面もあると思います。

「3Dオーディオ処理」では、音を一つの「点(オブジェクト)」として扱い、キャラクターの座標や障害物の位置を元に、ゲームエンジンが毎フレーム計算して立体音響を構築します。
こちらの方が、処理として使い勝手が良いんですね。
この辺りの処理技術はかなり研究が進んでいるので、興味のある方は調べてみてください。

また、バイノーラルではないのですが立体音響の収録として
アンビソニックス(Ambisonics)という、360度全方位の立体音響を収録・再生できる技術が導入されたりします。

この動画などはAmbisonicsについて、すごくわかりやすく説明されているので、是非ご参考にされてください。

関東と関西でセミの鳴き声が違って聞こえる理由

動画でも説明した通り、その土地で多く鳴いているセミの種類が違うからです。
関西の都市部ではクマゼミの「シャー」「ワシワシ」という強い声が目立ちやすく、関東ではアブラゼミやミンミンゼミの印象を持つ人が多い。


だから、同じ「夏の朝」でも、地域によって音の記憶が変わります。
セミの声は、単なる環境音ではなく、場所の記憶を作る音です。
関東出身の人が聞く夏と、関西出身の人が聞く夏は、同じ日本でも少し違う…面白いですね。

ただ、この分布は近年ではかなり曖昧になってきているようです。
音の常識も、時が経つにつれて段々と変化しているわけです。
少し寂しい気もしますが…これも時代の移り変わりって奴ですね。

音声作品などでは単に「夏」だけでなく地方や時間帯なども明確に設定しておくと
環境音の作りこみに差をつけることができるかもしれませんね。

繰り返し同じ声を聴くと別の言葉に聴こえる現象

これを難しい言葉で「反復単語変形効果」と言います。
そしてこの体験の中身は人によってかなり異なる(聴こえてくる単語が違う)というのが面白い所です。

ある研究によると、この変化は子供ほど変化が大きい(しかもたいてい実験中に笑い出す)ようで、文字として表現できない音に聴こえるそうです。

音楽のジャンル(特にダンスミュージック)にも「ミニマルミュージック」という、一定のループを楽しむジャンルがありますが
これが成立するのもこのような現象が関係しているのかもしれませんね。
リズムは規則正しい、一定のはずなのにそこにグルーヴを見出すことができる…という具合です。

音楽的な分野だと「音脈分凝」というものがあります。
「ドレド、ドレド、ドレド…」という旋律を聴いていると、ドとレの周波数は近いので自然に「ドレド」と聴きとれる
ここで「レ」の音を1オクターブ上げると「ド・ド、ド・ド、ド・ド」と
「・レ・、・レ・、・レ・」という具合に「ド」と「レ」が別々の流れとして知覚されてしまう…という現象です。

人間の聴覚って、本当に不思議ですね。

畳みかけるような声の演出に恐怖心を抱く心理

理由としては情報処理が追いつかないからという要素が大きいと思っています。
人は声を聞くと、意味・感情・距離・相手の意図を同時に処理します。
その声が休みなく迫ってくると、脳はそれを会話ではなく、圧迫や攻撃に近いものとして受け取ってしまい

「近い」「逃げ場がない」「意味を処理しきれない」という感覚が恐怖を感じさせる…のではないでしょうか。

そういう意味で、このゲームの音響はバイノーラル収録の特徴を十二分に活かした、良い作品だと思いました。

といった具合で、本当にプレイできてよかったです。
改めてになりますが、今回お付き合いいただきました

「海音ミヅチ」様(https://x.com/jiaomidsu3187)

「弐珠司」様(https://x.com/Hutatama_)

この場を借りて改めてお礼申し上げます。

気になった方は是非、アーカイブを観てください!

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